不都合な真実

Google Earthで同じ地表を時間の経過に合わせて見てみたいと思っていたが、そんな写真比較を踏まえながら地球環境問題を軸に作品化したのが「不都合な真実」。紀伊国屋を散策していたら書籍を発見、購入した。2007年1月20日に映画公開、書籍は6日から発売している。

アル・ゴア / 不都合な真実

不都合な真実

 

不都合な真実

著者は元アメリカ副大統領のゴア氏。彼が任期中、また現在までの人生を通して環境問題と向かい合い、現在は既に危険というレベルまで至っている事や、今我々に出来る事を語る。

100年前の写真ではこういう状態であったが、現在はこうだ、という具合に。例えばこう。ほぼ全ての事例で比較写真付き。

・1970年のキリマンジャロは氷河で覆われていたが、2005年時点では山頂に残るのみ。

・アメリカのグレーシャー国立公園は氷河で覆われていたが、現在はほぼ無い。

・平均気温が2、3℃あがるという時、赤道では1℃も上がらないが、北極では7℃あがっている。

・地球人口は0年頃は2.5億人、1776年では10億人だったのに対し、1945年で23億人、2000年で65億人、2050年では91億人(予測)

随所でブッシュ大統領の京都議定書に批准しなかった行動、アメリカ経済(世界最大の二酸化炭素排出国)が環境を軽視、むしろ無視している現状を批判しつつ、淡々と地球に起きている温暖化を説明する。そして既に温暖化により引き起こされつつある各種環境問題を解説している。温暖化がなぜ海流に影響を与えるのか。海流の流れが気温の上昇によりどう変化するのか。それによりどのような災害が発生するのか、など。

地球はまるで呼吸しているように大気中濃度は年サイクルで変化している。知らなかったのだが二酸化炭素濃度は1年で大幅に上昇し、次の年は大幅に下降、その次の年は大幅に上昇と繰り返している。そして平均的に上昇を続けている。2005年、観測史上最も地球気温の高かった年の二酸化炭素は大幅に上昇した。2006年の結果はまだ出ていないが、仮に下がったとしても、今年。既にイギリスの気象庁が地球の過去最高気温になると予測しているが、これは過去の傾向から明らかだ。つまり今年も2005年同様、過去最大級と言われてしまいそうなハリケーン、台風、地震、津波に襲われる可能性が非常に高いという事だ。

この本を読んでいると人間は温暖化で絶滅して、また地球の生物の再生サイクルに乗る道を着実に歩んでいるように思える。だけど経済を優先せずに環境を優先した政策なんて夢だ。ドミニカのように努力している国があっても、先進国の動きと新興国の勢いは環境に考慮できるものなのか。今の流れはもう誰にも止められないんじゃないか。人間より大きな視点で動いている地球以外には…。

ゴア氏としては倫理の問題として1人1人が行うべき活動を提言している。それはそれで重要だ。が、心無い国の政策、心無い企業の活動を賄い切れるのか。それともこういった活動から倫理感を文化に昇華させる方法も採ったという事か。とりあえず映画は観よう。

ちなみにゴア氏、アップルの取締役およびグーグルの上級顧問も勤めている。押さえる所は押さえてるよなぁ。

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